【ファンタジー】×【SF】『ミスター・ノーバディ』
2009年 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督
どんな映画??
人間の可能性は無限大だってこと
あくまで可能性はね・・・
ストーリー
時は2092年。科学の進歩により人類はついに不老不死の時代に突入していた。
しかし、その中で一人だけ異質の男がいた。
それは、人類最後の「死ぬ人間」である齢118歳のニモ・ノーバディだ。
ニモのことを世界中が注目している。なんてったって彼は寿命で死ぬ最期の人間なんだから、みんな気になって仕方がない。
皆さん彼の口から、人が不死になる前の世界のことを、人間が死んでいた頃の話を聞きたいのだ。
でも、それ以上聞きたいのはニモの過去なんだけど、それはニモ自身にもわからない。
これまでいろんな方法を試してみたが記憶を取り戻すことはできなかった。しかし、ダメ元で挑んだ催眠術で記憶を取り戻すことに成功。
そして、ニモの過去は徐々に明らかになっていくが、彼の歩んできた(?)人生は実に奇妙なものだった。
感想(ネタバレ)
ビックバンが起きて宇宙の膨張が始まり時間というのが生まれた。では、もし膨張が止まったら時間はどうなるのか?
突然すいません。これは物理の話だけど、人間の人生にこれを当てはめたのが本作ではないかと思いましてね。
9歳のニモ少年は、今後の生き方一つで可能性としては科学者にだって、ホームレスにだって何にだってなれるし、結婚相手だって選びたい放題じゃない。可能性としてはね。
そして、何になろっかなぁ〜って悩んでる内は、無限の可能性を保持してる状態。選択を迫られても選ばない限りは、何だって選ぶことができる。理屈上はね。
でも、人間に残された時間は有限なんだからいつかは選択しないといけない。そして、選択するってことはそれ以外の選択肢を捨てることでもあるじゃない。
つまりね。何が言いたいかっていうと、ニモが生まれてニモの人生における可能性の膨張が始まった。ニモが選択しない限り、可能性は膨張し続けることになる。
そして、ようやく彼が選択をした(列車のシーンで母でもなく父でもない第三の道を選んだ)ことにより、可能性は収縮する。だから、ラストで時間が巻き戻しになってるけど、あれはあったであろう複数の未来が第3の道を選んだところに向けて収縮してると解釈。
どこまでも、ニモの頭の中の話だったってことさ。